目標は人に言わない方がいい?実験で分かった納得の真実!
目標があるときって、なんだか他人に言いふらしたくなりますよね。
目標を公言する理由は主に3つです。
1.自分にプレッシャーをかけて目標実現につなげるため
2.目標を同じくする仲間や応援してくれる人を引き寄せるため
3.不安だから
1と2であれば問題ないのですが、「3.不安だから」という理由で目標を公言している人はたくさんいます。
目標を人に言うということは、「自分は努力している」アピールでもあります。
日本人は努力信仰が強い民族です。
努力している人はきっといいことが起きるに違いないと宗教のように信じています。
つまり、目標を公言することは努力しているという意味であり、努力しているということは必ず良い結果が出るという安心感があるのです。
しかし、努力が必ず報われるわけではありません。
まやかしの安心感に気づかないと、いつまでも目標は達成できません。
目次
目標を人に言うと達成しにくくなる?
本当に達成したい目標があるなら、誰にも言わないことをおすすめします。
なぜなら、目標を人に言うとそれだけで満足してしまい、目標達成のモチベーションが下がってしまうからです。
人間には承認欲求という「人に認められたい」という感情があります。目標を達成することには、少なからず人に認められたいという欲求が含まれています。
実は目標を達成するまでもなく、目標を人に言うだけで、「立派な目標を持っていて偉い!」と周りに思われる可能性があります。すると、まだ目標が達成されないのに承認欲求が満たされてしまうのです。
これはたとえ「立派な目標を持っていて偉い!」と思われなかったとしても、周りに目標を公言しただけで、なんだか達成したような気分になってしまう人もいます。
つまり、目標を人に言う行為は、承認欲求のガス抜きになってしまうのです。
ちょっと想像してみてください。
パターンA:自分の目標を家族・友達・会社の同僚に話していて、周りの人に「頑張って!」「君ならできるよ!」と応援されています。数か月後、目標を達成しみんなに「よくやったね!」「すごいよ!」と称賛されました。
パターンB:自分の目標は誰にも話していません。数か月後に目標を達成した後、自分が達成した結果を周りの人に打ち明けます。「まさかそんな努力をしていたなんて驚いた!」「君がそんなことできるなんて意外!」周りからは驚きと称賛の声が聞こえてきます。
パターンA、パターンBどちらも目標達成時には周りからの称賛が貰えます。ただし、パターンAでは周りの「驚き」の感情が少ないです。パターンBの場合は「驚き」と「称賛」のダブルで注目されます。
なぜパターンAでは周りの驚きが少ないかというと、目標を公言した時点で、「そんな目標持っているの?偉いね!」など、この時点ですでに周りの驚きの注目を集めているからです。そうなると、いざ目標を達成したとしても、周りは覚悟ができているのでそれほど驚きません。
つまり、パターンBの方は、最後に承認欲求の山場を持ってきているのに対し、パターンAでは山場が「目標を公言した時」と「目標が達成した時」の2つできてしまっています。
こうなると、目標を公言したパターンAでは、目標を公言した時点で中途半端な承認欲求が満たされてしまうので、目標達成までのエネルギーが減ってしまいます。
「目標は誰にも言うな」社会心理学者デレク・シヴァ―ス
アメリカの社会心理学者デレク・シヴァースがTEDのスピーチで有名になった実験があります。
1.人を集めて45分間の作業をしてもらう
2.半分の人は目標を宣言してから作業を行う
3.もう半分の人はなにも言わずに作業を行う
実験の結果、目標を宣言した人は45分間を使い切らずに早々に作業を辞め、自分の成果に満足する傾向がありました。
なにも言わずに作業を行った人は、45分間を最後まで使い切り、「自分の目標達成には努力が足りない」という感想を持つ傾向がありました。
目標を宣言 | 45分間を使い切らない、自分の成果に満足 |
なにも言わない | 45分間を使い切る、自分の成果に不満 |
目標達成にどちらが有利かお分りでしょうか?
ポイントは「45分間を使い切るのか使い切らないのか」だと思います。
目標を宣言した人は、自分の成果に満足してしまったがため、45分よりも短い時間で作業を中断したわけです。
20~30分間やる作業と45分間やる作業とじゃ、パフォーマンスが高いのは45分間やり切ったほうでしょう。
つまり、なにも言わないほうが、自分の成果に不満だから、高いパフォーマンスを発揮し、それが後々の目標達成に繋がる可能性が高いのです。
目標を人に言うと、「目標に近づいた気分」になってしまうと考えられます。当然、「気分」ですから勘違いです。そして、目標には近づいていないのに努力を怠ってしまうのです。
目標を公言すれば周りが協力してくれるって言う人もいるけど…
「周りに自分の目標を公言すれば、周りが実現に協力してくれる」という話もありますよね。
今回紹介した実験と矛盾します。
でも、これはこれであながち間違いではありません。
これは、目標の質によるものだと思います。
たとえば、東大合格が目標だとします。これは人に言う方がいいのでしょうか?言わない方がいいのでしょうか?
私は言わない方が良いと結論づけます。
なぜなら、大学受験は自分だけで達成する目標だからです。
他人に公言したところで、他人は協力しようがありません。公言するということは、「自分は東大受けるんだぜ、すげぇだろ!」という気持ちもちょっと含まれてますよね(笑)。このように目標を公言すると、その次点で承認欲求が満たされてしまうので、勘違いによるモチベーション低下のリスクのほうが高いです。
他人に目標を公言したほうが良いケースというのは、たとえばビジネスなどで、ハッキリとやりたいことが決まっていて、誰かの協力を得たい場合など、人脈を利用するようなシーンであれば、広く目標を周りに言うことで、なにかの縁で仕事に繋がるというようなケースです。
なので、社会心理学者デレク・シヴァースの実験でも証明された通り、基本的には目標は誰にも言わない方が良いでしょう。
目標を言わない効果まとめ
目標を言わないと、実はものすごく不安になります。
目標を言いたいけど、言わない。
言わないことで、不安だけど、その不安感こそがエネルギーとなり、モチベーションになります。
言わないように我慢するのは意外ときついです。
だって、誰にも言わずに努力しているときって、誰も認めてくれませんよね。
逆に、目標を公言してしまえば、誰かが自分の努力を認めてくれているような気がしてきます。でも、それは大いなる勘違いです。単なる勘違いで目標達成を妨げるのは馬鹿らしいですよね。
早く言いたいからこそ、早く言うために努力できます。
「早く言いたいエネルギー」を活用して、目標を達成しましょう!
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