積立NISAを始めようとして商品を調べると、必ずと言っていいほど目にするのが「オルカン」と「S&P500」です。
どちらも人気が高く、「どっちにすればいいかわからない」という人は多いと思います。結論から言うと、どちらも優秀な商品で、どちらを選んでも大きく間違いではありません。ただし、仕組みと特徴の違いを知ったうえで自分に合うほうを選ぶのが大切です。
この記事では、オルカンとS&P500の違いをわかりやすく解説しながら、どちらを選ぶべきかの考え方をお伝えします。
オルカンとは?
「オルカン」とは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の通称です。
日本・アメリカ・ヨーロッパ・新興国など、世界約50カ国の株式に幅広く分散投資します。「世界経済全体の成長をそのまま受け取る」というイメージの商品です。
国別の構成比率は時価総額の大きさに応じて決まります。現在はアメリカ企業が約60%を占め、次いで日本・イギリス・フランスなどの先進国、中国・インドなどの新興国が続きます。
信託報酬は年率0.05775%と非常に低く、純資産総額は投資信託の中でトップクラスです。
S&P500とは?
まず「S&P500」という言葉について説明します。S&P500は投資信託の名前ではなく、アメリカの株価指数です。日本でいう日経平均株価やTOPIXと同じような存在で、アメリカの主要500社の株価をもとに計算したひとつの数字です。指数そのものは直接買えるものではありません。
ダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)もアメリカの株価指数ですが、ダウは主要30社をもとに計算しています。S&P500は500社と幅広いため、アメリカ経済全体の動きをより正確に反映しているとされており、投資の世界ではS&P500のほうが指標としてよく使われています。
S&P500に投資したい場合は「S&P500に連動するよう設計された投資信託」を買うことになります。その代表格が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。「S&P500を買う」という表現はこの投資信託を指していることがほとんどです。
アップル・マイクロソフト・エヌビディア・アマゾン・グーグルなど、世界的に知名度の高い企業が上位を占めています。
投資先はアメリカ100%です。アメリカ経済が成長すれば上がり、停滞すれば下がります。
信託報酬は年率0.09372%で、オルカンよりやや高めですが、十分に低い水準です。
オルカンとS&P500の違い
| オルカン | S&P500 | |
|---|---|---|
| 投資対象 | 世界約50カ国の株式 | アメリカ主要500社の株式 |
| アメリカの比率 | 約60% | 100% |
| 銘柄数 | 約2,900銘柄 | 500銘柄 |
| 信託報酬 | 年率0.05775% | 年率0.09372% |
| リスク分散 | より広い | アメリカに集中 |
最大の違いは「アメリカ以外の国にも投資しているかどうか」です。
オルカンはアメリカが約60%を占めますが、残りの約40%は日本・ヨーロッパ・新興国などにも分散されています。S&P500はアメリカ100%です。
上位銘柄はほぼ同じ
「投資先が全然違うのでは?」と思うかもしれませんが、実は上位10銘柄のうち9銘柄は両方に共通しています。エヌビディア・アップル・マイクロソフト・アマゾン・グーグルなど、おなじみの企業が上位を占めている点は変わりません。
そのため値動きも非常に似ており、「オルカンとS&P500を両方買っても、分散の効果はほとんどない」とも言われています。どちらか一方を選べば十分です。
過去のリターンはどちらが上?
過去の実績ではS&P500のほうがわずかにリターンが高い傾向があります。これは過去10年以上にわたってアメリカ経済が世界をリードし続けてきた結果です。
ただしこれはあくまで過去の話であり、今後も同じとは限りません。アメリカが今後も世界経済をリードし続けるかどうかは誰にもわかりません。
どちらを選べばいい?
「絶対にこっちが正解」という答えはありません。ただし、考え方の目安はあります。
「アメリカ経済の成長を信じている。多少リスクがあっても高いリターンを狙いたい」という人にはS&P500が向いています。
「世界経済全体に分散して、より安定的に長期投資したい」という人にはオルカンが向いています。
どちらか迷った場合は、よりリスク分散が効いているオルカンを選ぶのがシンプルです。投資の基本である「分散」という観点では、オルカンのほうがより徹底されています。
ただし、過去の実績や投資家の間でのS&P500への支持も根強く、「アメリカに集中してもいい」と納得できるならS&P500も十分な選択肢です。
オルカンとS&P500を両方買う意味はある?
「両方買えばさらに分散できるのでは?」と思う人もいますが、前述の通り上位銘柄の9割が重複しているため、両方買っても分散の効果はほぼありません。
どちらか一方に絞るほうがシンプルで管理もしやすいです。
為替リスクについて
オルカンもS&P500も、外国株式に投資するため為替の影響を受けます。円安のときは円換算での評価額が上がり、円高のときは下がります。
ただし長期で積み立てる場合は、為替の変動も時間をかけて平準化されていくため、短期的な為替の動きを過度に気にする必要はありません。
まとめ
- オルカンは世界約50カ国に分散投資、S&P500はアメリカ100%
- 上位銘柄の9割が重複しており、値動きはほぼ同じ
- 過去のリターンはS&P500がわずかに上回るが、今後は不明
- 分散重視ならオルカン、アメリカ集中でリターンを狙うならS&P500
- 両方買っても分散効果はほぼないため、どちらか一方に絞るほうがシンプル
- どちらを選んでも長期で積み立て続けることが最も重要
証券会社選びで迷っている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
※本記事は情報提供を目的としています。制度の内容は改正により変更される場合があります。最新情報は金融庁・各証券会社の公式サイトでご確認ください。投資には元本割れのリスクがあります。投資の判断はご自身でお願いします。
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