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なぜ人はあがるのか、アドラー心理学的見地から考えてみた

公開日: : 最終更新日:2017/06/25 心理学 ,

感情とは人がそのときに必要としている目的遂行のためにこしらえるものです。

  • 相手を罵倒するために、怒りの感情をこしらえる。
  • 場を盛り上げるために、喜びの感情をこしらえる。
  • 涙を流すために、哀しみの感情をこしらえる。
  • 怠けるために、無気力な感情をこしらえる。

これらは、アドラー心理学でいう「目的論」です。

普段私たちは、原因があって目的を作ると考えがちですが、アドラーはこの原因論を否定し、目的があって原因をこしらえているという「目的論」を唱えました。

この目的論を考えたとき、「人がなぜあがるのか」、その仕組みが理解できました。

あがり症は後天的なもの

小さい子供はあがりません。あがり症は後天的なものです。だいたい思春期ごろから発生します。(ちなみに人見知りはあがりとは違います)

人間だれでも思春期を向かえるころにはある程度「あがる」ようになります。自称あがり症の人も、人生経験のなかで、あがり症になったキッカケというものが必ずあるはずです。

キッカケはだいたい、「学校で調子に乗ってたら先生に怒られた」とか「家で父親に厳しく育てられた」とかです。このようにあるときのキッカケや日々つちかった経験などで、人間の深層心理は「あがる」という感情を必要だと思い、あがり状態をその都度作るようになるのです。

あがり状態はメリットがあると深層心理は思っている

深層心理は「無いもの」を理解できません。

「あがらない」状態というのを理解できないのです。それよりも、あがることによりもたらすメリットを優先させます。

過去、「調子に乗ってて先生に怒られた」経験があるとします。(だいたい誰にでもある経験です)この経験から人によっては、「調子に乗ることは悪である」と意味付けをするのです。(先生が間違っていると思える人はあがり症にならない)

「調子に乗らないためにどうするか?」⇒「緊張してドキドキとあがる状態になれば、消極的になり、調子に乗ることもない」という目的のために深層心理はあがり状態を作ります。(あがりを作る以外に解決策を深層心理で見つける人はあがり症にならない)

このようにたいていの人は、「あがることにより、調子に乗ることを抑えることができるというメリットがある」というふうに深層心理は思ってしまっているのです。

つまり、人間は社会経験を積んで、後天的にあがりを必要とする感情を作り出します。

論理的に考えればあがらないほうがメリットがある場面は多いと思います。しかし、冒頭に述べたように深層心理は「無いもの」を理解できず、「あがらないメリット」は理解できないのです。

あがり症克服には嫌われる勇気が必要

あがり症を必要とする目的は、調子に乗ったり、他人より優秀に見られたりなどすることにより人に嫌われることを阻止する目的です。

たとえば、他人と議論するときに緊張しあがる人がいます。それは、あがりの感情を作り出し、自分を抑圧し、まともに議論ができない状態をつくり、議論に負けることで相手に嫌われないようにする目的があります。これが心理学の目的論です。

それは論理的に考えれば無駄なことであり、勝ち負けは別として、まともに議論ができなければ自分の評価が下がることは目に見えてます。だけど深層心理は賢い選択ができないのです。

そもそも、人に嫌われるということを恐れてしまうがための深層心理の誤った選択なのです。

人に嫌わててもいいという嫌われる勇気こそが、あがりの改善及びあがり症の克服で重要なことなのです。

また、あがり症の克服の別のアプローチでは、「慣れ」もあります。

つまり「慣れ」とは場数を重ねることにより「失敗しようが、議論で勝とうが人に嫌われることはない、むしろ得られるメリットのほうが大きい」ということを深層心理に学習させる効果が有るのです。

しかし、嫌われる勇気が無い限り「慣れ」だけでは、場面が違えばまたあがりの症状が出てしまいます。

議論をすることに慣れて、あがりが出なくなったとしても、スピーチでは応用できません。

スピーチであがる理由は、「スラスラとスピーチができて自分の能力以上に立派にみられる」「調子に乗った発言で失敗する」などを防ぐ目的があります。

議論と目的が違うので、議論にいくら慣れてもスピーチでは効果無いのです。

よって、根本的にあがり症を克服する一番の方法は、嫌われる勇気を身につけることなのです。

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