「株の配当金だけで生活できたら」と一度は夢見たことがある人も多いと思います。
結論から言うと、配当金だけで生活を完全にまかなうのはかなりの資産が必要で、簡単ではありません。ただし「生活費の一部を配当金で補う」という現実的なゴールを設定すれば、手が届く範囲の話になってきます。
この記事では、配当金生活に必要な金額を具体的な数字で解説します。
配当金生活の仕組み
配当金生活とは、保有している株から受け取る配当金だけで生活費をまかなう状態のことです。
たとえば100万円分の株を持っていて配当利回りが3%なら、年間3万円の配当金を受け取れます。これだけでは生活できませんが、保有する株の金額を増やしていけば、受け取れる配当金も増えていきます。
なお、配当金は毎月もらえるわけではありません。日本株は年2回(中間配当と期末配当)が一般的です。たとえば3月決算の会社なら9月と3月に受け取れます。米国株は年4回(四半期ごと)の会社が多いです。「月10万円の配当金」という表現はよく使われますが、実際には年間120万円を年2〜4回に分けて受け取るイメージです。
配当利回りとは?
配当利回りとは、購入した株に対してどのくらいの配当金が得られるかを示す割合です。
計算式は「年間配当金 ÷ 株価 × 100」です。
たとえば株価1,000円の株が年間40円の配当を出していれば、配当利回りは4%です。
日本株の平均的な配当利回りは2〜3%程度です。高配当と呼ばれる銘柄は4%前後が目安で、それ以上になると減配リスクも考慮する必要があります。安定した企業の配当利回りは3〜5%程度が現実的な範囲です。
必要な資産額を逆算する
配当金生活に必要な資産は「毎月いくら必要か」と「配当利回り何%の銘柄を選ぶか」によって決まります。
計算式は「必要資産額 = 年間必要配当金 ÷ 配当利回り」です。
配当利回り4%を前提に、月々の目標配当金別に必要な資産額を試算すると以下のようになります。
| 月の目標配当金 | 年間配当金 | 必要資産額(税引前・利回り4%) |
|---|---|---|
| 月3万円 | 年36万円 | 約900万円 |
| 月5万円 | 年60万円 | 約1,500万円 |
| 月10万円 | 年120万円 | 約3,000万円 |
| 月20万円 | 年240万円 | 約6,000万円 |
| 月30万円 | 年360万円 | 約9,000万円 |
これは税引前の数字です。配当金には約20%の税金がかかるため、手取りベースで考えると必要資産額はさらに増えます。
たとえば月20万円を手取りで受け取りたい場合、税引後で月20万円=年間240万円を確保するには、税引前で年間約300万円の配当金が必要です。利回り4%で計算すると必要資産額は約7,500万円になります。
NISAを使えば税金分がそのまま残る
通常、配当金には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内で保有している株の配当金は非課税になります(株式数比例配分方式での受け取りが条件)。
つまりNISAをフル活用すれば、先ほどの試算より少ない資産でも同じ手取り配当金を実現できます。新NISAの生涯投資枠は1,800万円なので、この枠を高配当株で埋めることが配当金生活への現実的なアプローチのひとつです。
完全な配当金生活は現実的?
総務省の家計調査によると、単身世帯の月平均支出は約16〜17万円、2人以上の世帯では約30万円前後です。
完全に配当金だけで生活しようとすると、先の試算の通り数千万円〜1億円規模の資産が必要になります。現実的にゼロから目指すのはかなりハードルが高いです。
ただし「完全な配当金生活」ではなく、こんなゴール設定なら現実味が出てきます。
「配当金で月3〜5万円を受け取り、生活費の一部を補う」というサイドFIRE的な使い方であれば、900万円〜1,500万円程度の資産が目安です。フリーランスや会社員として収入を得ながら、配当金を副収入として積み上げていくスタイルは現実的な選択です。
配当金生活を目指すうえでの注意点
高利回りだけで銘柄を選ばない
利回り7〜8%以上の銘柄は魅力的に見えますが、業績が悪化して配当を減らす(減配)リスクが高い場合があります。高利回りの銘柄ほど、企業の財務状況や業績をしっかり確認することが大切です。
減配・無配のリスクがある
配当金は企業が業績に応じて支払うもので、保証されたものではありません。業績が悪化すると減配や無配(配当ゼロ)になることがあります。複数の銘柄に分散して投資するリスク管理が重要です。
株価の値下がりリスクがある
配当利回りが高くても、株価自体が大きく下がれば資産全体は減ります。配当金だけに注目するのではなく、株価の安定性や企業の成長性も合わせて見ましょう。
配当金だけで生活できる状態になるまでに時間がかかる
まとまった資産を作るには長期間の積み立てと再投資が必要です。配当金を受け取ってもすぐに使わず、さらに株を買い増していくことで資産を加速させていくのが一般的なアプローチです。
投資歴15年の私が感じること
私が株を始めた当初から「配当金生活」は投資家の憧れでした。長く続けてきた実感として言えるのは、配当金を「生活費をすべてまかなうもの」として考えると目標が遠すぎて挫折しやすいということです。
それよりも「配当金で通信費をまかなう」「旅行代を配当金で賄う」という小さなゴールを積み上げていくほうが、長く続けやすいと感じています。完全な配当金生活は結果としてついてくるもので、最初から狙いすぎないほうが投資は長続きします。
まとめ
- 配当金生活に必要な資産額は「目標配当金 ÷ 配当利回り」で計算できる
- 月10万円の配当金(税引前・利回り4%)には約3,000万円が目安
- 税金を考慮すると手取りベースでは必要資産額がさらに増える
- NISAを活用することで税金分がそのまま手取りになる
- 完全な配当金生活より「副収入として配当金を積み上げる」ほうが現実的
- 高利回りだけで銘柄を選ばず、企業の安定性も重視する
証券会社選びで迷っている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
※本記事は個人の見解にもとづく情報提供を目的としています。投資には元本割れのリスクがあります。投資の判断はご自身でお願いします。掲載している数値・制度内容は執筆時点の情報です。最新情報は金融庁・各証券会社の公式サイトでご確認ください。
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