「最初に開いたNISA口座、もっといい証券会社に変えたい」
そう思っている人は少なくありません。NISA口座は1人1口座しか持てませんが、1年に1回、別の金融機関に変更することができます。
この記事では、NISA口座を変更したくなる理由から、手続きの具体的な流れ、変更前に保有している株や投資信託はどうなるのかまで、まとめて解説します。
NISA口座を変更したくなるのはどんなとき?
「なんとなく最初に開いた証券会社のままになっている」という人も多いと思います。改めて見直すきっかけとして、こんなケースがあります。
取り扱っている商品が少ない・欲しい商品がない
銀行でNISA口座を開いた場合、取り扱っている投資信託の本数が少なく、コストの低いインデックスファンドが選べないことがあります。ネット証券に変更することで、選べる商品の幅が大きく広がります。
手数料が高い
証券会社によって手数料は異なります。特に国内株式や米国株式を取引する場合、手数料の差が積み重なるとコストに大きな影響が出ます。手数料を抑えられる証券会社に変えたいというのは多くの人が感じる理由です。
アプリや画面が使いにくい
スマホアプリの操作性や画面の見やすさは証券会社によってかなり違います。使いにくいと感じていたり、資産管理がしにくいと感じていたりする場合は、使い勝手のよい証券会社に変更するのもひとつの理由になります。
ポイントや特典が充実している証券会社に移りたい
楽天証券では楽天カードや楽天キャッシュでNISAの積立をすると積立額に応じてポイントが付与されるなど、証券会社によっては積立投資と連携したポイントプログラムや特典があります。普段使っているサービスと連携した証券会社に統一したいという理由もあります。
NISA口座変更の3つのルール
手続きの前に、知っておくべきルールが3つあります。
ルール① 変更は年1回のみ
NISA口座の変更は1年に1回しかできません。「やっぱり別の証券会社にしたい」と思っても、同じ年に2回変更することはできません。慎重に変更先を選びましょう。
ルール② その年に1円でも買付をしていたら変更できない
変更したい年の1月1日以降に、現在のNISA口座で1円でも買付をしていた場合、その年中の変更はできません。積立設定をしている場合は要注意です。年明けに自動で積立が実行されてしまうと、その年は変更できなくなります。
変更を考えている場合は、あらかじめ積立の停止設定を忘れずに行いましょう。
ルール③ 変更の手続き期間が決まっている
翌年分の変更手続きは、前年の10月1日から当年の9月30日までに完了させる必要があります。たとえば2027年から新しい証券会社でNISAを使いたい場合は、2026年10月1日から2027年9月30日の間に手続きを済ませます。
10月以降に手続きをしても、その年中の変更には間に合わず、翌年からの適用になります。
変更前のNISA口座に保有している株や投資信託はどうなる?
これが一番気になるポイントだと思います。
結論から言うと、変更前の証券会社で保有している資産は新しい証券会社に移すことができません。変更後も変更前の証券会社にそのまま残り続けます。
変更前の証券会社の口座は、非課税のまま保有・売却・配当金の受け取りができます。ただし新たな買付はできなくなります。
まとめて一か所で管理したい場合は、変更前の証券会社の保有資産を一度売却してから新しい証券会社でNISAを使って買い直すという方法があります。ただし、売却のタイミングによっては含み益が減ったり損失が出たりするリスクがあるため、慎重に判断しましょう。
NISA口座変更の手続きの流れ
証券会社Aから証券会社Bへ変更する場合の手順を説明します。
ステップ① 証券会社Aで変更手続きをする
現在のNISA口座がある証券会社A(変更前)に、NISA口座の金融機関変更を申し出ます。「金融商品取引業者等変更届出書」を取り寄せて必要事項を記入し、返送します。ネット証券であればオンラインで手続きできる場合が多いです。
1〜2週間ほどで「勘定廃止通知書」(または「非課税口座廃止通知書」)が郵送で届きます。この書類が次のステップで必要になります。
なお、保有資産がまったくない場合(一度も買付をしていない場合)は「非課税口座廃止通知書」が発行されます。保有資産がある場合は「勘定廃止通知書」を請求しましょう。間違えると保有資産が課税口座に移管されてしまう可能性があるため注意してください。
ステップ② 証券会社Bで総合口座を開設する(未開設の場合)
変更先の証券会社BにNISA口座を作るには、まず通常の総合口座が必要です。まだ口座を持っていない場合はこのタイミングで開設しておきましょう。
ステップ③ 証券会社BでNISA口座を申し込む
証券会社Bのサイトまたはアプリから「他社からのNISA口座の乗り換え」を選択し、ステップ①で受け取った「勘定廃止通知書」の情報を入力します。本人確認書類やマイナンバー書類の提出も必要です。
ステップ④ 税務署の審査を経て口座開設完了
NISA口座は税務署による審査があるため、開設完了まで2週間〜1か月程度かかります。審査が完了すると証券会社Bから通知が届き、新しいNISA口座での取引が可能になります。
変更手続きで失敗しないための注意点
積立設定の停止を忘れない
積立投資をしている場合、年明けに自動で買付が実行されるとその年の変更ができなくなります。変更を考えているなら積立設定の停止を先に行いましょう。
手続きには時間がかかる
変更完了まで1か月前後かかることがあります。9月末の期限ギリギリに動くと間に合わない可能性があります。余裕をもって動くのが安心です。
どこでNISA口座を開いたかわからなくなった場合
e-Tax(国税電子申告・納税システム)のマイページでNISA口座の開設状況を確認できます。マイナンバーカードでログインするか、マイナポータルと連携することで確認が可能です。わからない場合は最寄りの税務署でも確認できます。
変更先の証券会社が対応しているか確認する
変更先の証券会社が他社からのNISA口座の乗り換えに対応しているか事前に確認しておきましょう。ほとんどのネット証券では対応していますが、金融機関によって手続き方法が異なります。
NISA口座の変更は売却したほうがいい?そのままでいい?
「変更前の口座に保有資産があるけど、売ったほうがいいか悩んでいる」という人は多いと思います。考え方の目安をお伝えします。
含み益がある場合は、売却することで利益を確定できます。NISA口座内の売却益は非課税なのでタイミングとしては悪くありませんが、売ってしまうと生涯投資枠を消費することになります。
含み損がある場合は、売却すると損失が確定します。NISA口座内の損失は他の利益と損益通算できないため、売るかどうかは慎重に判断する必要があります。
どちらの場合も「新しい証券会社で使いたい商品がある」「一か所でまとめて管理したい」といった理由があるかどうかで判断するのがよいでしょう。
まとめ
- NISA口座の変更は年1回、手続き期間は前年10月1日から当年9月30日まで
- その年に1円でも買付をしていたら変更できない。積立設定の停止を忘れずに
- 変更前の口座に保有している資産は新しい証券会社に移管できない
- 変更後も変更前の口座で非課税のまま保有・売却はできる
- 手続き完了まで2週間〜1か月かかるため余裕をもって動く
- どこでNISA口座を開いたかわからない場合はe-Taxまたは税務署で確認できる
証券会社選びで迷っている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
※本記事は情報提供を目的としています。制度の内容は改正により変更される場合があります。最新情報は金融庁・各証券会社の公式サイトでご確認ください。投資には元本割れのリスクがあります。投資の判断はご自身でお願いします。
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